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 大学一年、春――。
 新しい出会いの中、二人は再会する。
 春の陽気が温めるのは止まっていた時間か、それとも新しい絆なのか。由乃×祐麒シリーズ第九弾。
 
 
 
*        *        *
 
*!* 注意 *!*
『マリみてで男女のカップリングなんて許せない!』
という方は閲覧をご遠慮下さい。

閲覧は全て自己責任とし、それにより何らかの不具合や損害、
精神的被害があったとしても、当方は一切の責任を負わないものとします。
上記の注意書きを無視して閲覧した際の苦情・文句などは一切受け付けません。
 
尚、今回の話に宛てられたWEB拍手コメントについては、作品の性質上
レスにネタバレが含まれる恐れのあるコメントには返信致しません。
ご了承下さい。
 
*        *        *
 
 
第一話
「ああ、あなたが祐麒くんね」
 祐麒と同じぐらいの歳に見えるその女の子は、親しげな口調と笑顔でそう言った。
 
第ニ話
「うん、まあ……」
 知り合いと言ったら、まあそうなるんだろうか。本当にちょっと知ってるだけの知り合いだったら、どんなによかったかと思うけど。
 
第三話
「そんなんじゃないよ」
 思わず口をついてではのは、事実とは正反対の嘘だった。
 
第四話
「となるとこれは、運命の再開ってヤツか! 時を経て再びめぐり逢った二人、再び燃え出す恋!」
 小林のヤツ、一人で楽しそうだ。
 
第五話
「そういうので嘘つく人がいるから」
 そう言って無邪気な笑顔に戻ったから、昔そう言う事があったという訳ではないのだろう。
 
第六話
「ただいまー」
 そう言いながら台所に入ると、何故か令ちゃんが夕食を作っていた。
 
第七話
「偉い!」
「俺も偉い!」
「あんたは違う!」
 
第八話
「懐かしいね」
「そう……だね」
 祐麒は少しだけ詰まって、そう答えた。
 
第九話
「三回も?」
 それは経験の差を考えても、祐麒よりハイピッチでやっている。
 
第十話
「ふーん、今度行ってみよっかな、その喫茶店」
 それにしても祐巳、M駅についたのに、帰らないのだろうか。
 
第十一話
「飲みに行こうよ。今度は二人で」
 ね、と見慣れた笑顔はショーウインドウから漏れた光に照らされて、いつもより魅力的に見えた。
 
第十ニ話
「でも、はぁ……告白かぁ」
 祐巳はまたその時を思い出したみたいに、複雑な表情になる。さっきから料理は、一向に減っていない。
 
第十三話
「下品だな」
 深くため息をつくと、かぶりを振った。
 
第十四話
「三十分って、言ったよな?」
「言ったっていうか、聞いた……」
 かれこれ坂を上り始めて、四十分になる。
 
第十五話
「どうする、由乃ちゃん?」
「言っちゃってもいいんじゃない?」
 いつものノリで返しながら、胸にもやもやした物が立ちこめてくるのが分かった。
 
第十六話
「ありがと」
 細められた目と、儚げな唇から紡ぎ出されたその言葉に、祐麒は今度こそ縛り付けられた。
 
第十七話
「見て」
 言われて見上げると、いつの間にかアーケードのように生い茂った木々の葉が切れて、星が瞬いているのが見えた。
 
第十八話
『好きだよ』
 星と月の灯りを灯した瞳が笑って、かすれた囁き声が耳に蘇る。
 
第十九話
「何がいい?」
 マスターは食器棚を向いたまま、由乃に言った。
 
第二十話
「お前――」
 引っかかった。元々隠し事は苦手な方だったけれど、こうもまんまと引っかけられるとは。
 
第二十一話
「あ、マスターかっこいい」
「当たり前よ」
 由乃が言うと、マスターが胸を張って言った。
 
第二十二話
「バカじゃないの?」
 今度こそ、真正面から目が合った。
 
第二十三話
「なんで……?」
 問いかけたまま由乃は顔を伏せると、祐麒の答えを待たないまま歩き出した。
 
第二十四話
「ユキチ、最近ボーッとするの好きだな」
 昼ご飯を食べ終わって食堂で考え事をしていると、不意に目の前が暗くなった。
 
第二十五話
「……うん、そうだよ」
 かさ、と、くず折れる音がした。震える声は涙声に変わり、嗚咽が聞こえ始める。
 
第二十六話
「お店の装飾には、最適だよね」
 いつの間に持ってきていたのか、由乃は買い物籠にバサバサとスプレーや型を入れた。
 
第二十七話
「よしじゃあ、それでいくぞ。ワン、ツー」
 走れそりよ 風のように 雪の中を 軽く早く。
 
第二十八話
 雪を孕んでいてもおかしくないぐらい冷たい北風が、由乃のマフラーを靡かせる。寒いね、の一言で、真剣な祐麒の声も、由乃の緊張も、全て朔風がさらって行ってくれるはずだった。
 
第二十九話
 「そろそろ行こうか」
 祐麒はサンドウィッチの包み紙をクシャっとつぶすと、ジュースの残りを一気に飲んだ。
 
第三十話
 「あのさ」
 だから由乃は、反撃に出る事にした。
 
第三十一話
 「いいから答えて」
 見つめるのと睨み付けるのの半分ぐらいの目力で言うと、祐麒は「まあ落ち着け」と言うようにゆっくりグラスを傾けた。
 
第三十二話
「は?」
 は、って。それはどっちの「は?」なんだ。何を当たり前の事をって意味なのか、何とんでも無い事を言っているんだって「は?」なのか。
 
第三十三話
「もういいよ!」
 細い身体の一体どこから、そんな声が出せるのだろう――。
 

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