サンプル3
 
 
執筆:滝(流れ落ちる何か

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(あれは……あのお姿は……)
 置いていかれたキュ巳は、状況が分かってくるにつれて、だんだんと恐ろしくなってきた。
 間違いない。
 二年松組、小笠原キュン子さま。ちなみに出席番号は七番。通称、『紅薔薇のつぼみ(ロサ・キュネンシス・アン・キュンキュン)』。
 ああ、口に出していうのさえもったいない。私のような者の口で、その名を語ってもいいのでしょうか、――そんな気持ちになってしまう、全校生徒のキュンキュンの的。
(そんな……)
 キュンキュンしすぎて、沸騰寸前である。
(こんなのって、ないよ)
 キュ巳はしばらく、呆然と立ち尽くしていた。  憧れのお姉キュンと、初めて言葉を交わしたというのに。こんな恥ずかしいエピソードなんて、ひどすぎる。
 マリア様の意地悪。
 悔し紛れに見上げたマリア様は、いつもと変わらない微笑を浮かべて、小さな緑のお庭の中でキュンキュンしていらっしゃるのであった。

 
 
 
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