■ 作家
 
 
 
 
『先生、締切は明日ですからね!!』
帰って来るなり、FAXされた編集からのメッセージに苦笑する。
(31ページ分ぐらい、すぐ書けるって思っているんだろうな)
PCの前に座り、画面が立ち上がるまでの間に、コンビニで買って来たおにぎりを食べ、お茶を飲む

「さて、あと少し頑張りますか……」
PCラックの上の写真立てに飾った、高校時代の写真を軽く見てから、再びキーを叩いて文章を産み
出して行く作業に戻った。


3時間ほどだっただろうか。
あぁでもない、こぅでもないと悩み、2ページ分ほどしか進んでない。
そんな中、電話の呼び出し音が鳴った。
どうせ編集からだろうと、無視を決めてPCの前を離れない。
しばらくして、FAXが受信した画像を転記する音がしたので一応、確認の為に席を立つ。

『ごきげんよう、お姉さま。締切破りはしないでくださいね。良いモノ書こうと、肩に力入り過ぎて
ませんか?普通に書いたら、お姉さまの作品は面白いんですから。あなたの妹・真美より』

そのFAXを見て、彼女― 築山三奈子 ―は、少し口許を緩ませた。
(全く、あの娘ってば……)

残りのページが終わったのは1時間後だった。



あとがき


作家にとって、作品は子供です。
どんなに出来が悪くても、どんなに非難されても。
僕が作家として初めて発表した作品は18禁小説でした。そして何作も18禁小説を書いてます。な
かには、今の作風とは違う、ハードな内容もあります。
ただ、そう言った過去に書いてきた作品を、若げの至りとして恥ずかしいと思う事はあっても、恥じ
ることはないです。
それは、自分が頑張って産み出した努力の結晶だからです。
そう言った作品を無意味に非難されるのは、悲しい事です。
逆に、しっかり読んでもらって批評されると、すごく嬉しいもので、書く意欲になります。

ネットからほとんど隔離された生活をしているので、どんな経緯があったかは判りません。無くなる
って話は人伝てに聞いていましたが。
今はただ、あのおバカな空間に触れられなくなった悲しさでいっぱいです。
三奈子の書く小説は、彼の作品みたいに、ワクワク感に包まれた作品だと思います。


最後に
新しい一歩を踏み出したあなたへ
これが僕の出来る餞です。また飲みましょう。
 
 

 
 
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...Produced By 川菜平太