■ 悪戯 AM6:58 ここは都内某所にある、福沢祐麒と二条乃梨子の愛の巣(笑)のアパートである。 祐麒が家を追い出される形で同棲を始めては1ヵ月。 開始当初は別々の部屋で寝ていた二人だが、しばらくして同じ部屋の別々の布団で寝るようになり、 今では同じ布団で一緒に寝るようになっていた。 そして…… 「んっ…、んん…」 カーテンの隙間からこぼれる朝の光に、祐麒の意識はゆっくりと覚醒していく。 そして、右手を伸ばして頭上の目覚し時計を掴んで時間を確認する。 (7時か……、起きなきゃな……) 時計を戻すと、祐麒は顔を反対に向け、自分の左腕を枕にして眠る恋人の頭を撫でながら呼び掛ける。 「リコ、朝だよ」 「ん……あと弥勒菩薩像だけ観せて……」 『どんな夢見てるんだ』と呆れながら、祐麒はもう一度起こそうとして、ちょっとした悪戯を思いつく。 乃梨子の頭を抱えるように左腕を曲げて、そしてその手首を右手で持って…… ギュ〜〜〜〜〜ッ 「痛たたたたたっ!!」 鮮やかなヘッドロックが決まる。 「目、覚めた?」 「痛くて永眠しそうです」 「なら、永眠させてあげる」 「えっ」 祐麒は素早く乃梨子の頭を左手でがっちりホールドし、右手を乃梨子の顎に添える。 そして…… 乃梨子にキスをする…… 深いキスを…… 息も出来ないほど、深いキスを…… ……鼻を摘まんで。 「で、マジギレした乃梨子ちゃんに平手打ちを食らったと」 コーヒーを飲みながら、小林は親友の顔に出来た見事な紅葉を見る。 「ちょっとした茶目っ気だったんだけどなぁ」 「乃梨子ちゃんだからそれで済んでるんですよ。可南子なら、グーパンチが飛んできますよ」 可南子の彼氏である松岡由貴が、アイスコーヒーをすすりながら言う。 「そう言いながら、腕枕して寝るなんてことしてるんだから、ラブラブじゃないか」 「『ケンカするほど、仲が良い』だな」 「ほっとけ……」 そう言いつつ、祐麒は満更でもない表情で残ったカフェオレを飲んだ。 あとがき 好きな人に腕枕したり、膝枕してもらったり、抱き枕にされたりするのが夢なドリーマー・川菜です。 相変わらずバカップルっぷりを発揮している2人ですが、これでもバカップル度は下げてるんですよ。(あと大人な描写もカットで) さて、そろそろ小林にも活躍してもらわないとね。 では、ごきげんよう。 おまけ 「「腕枕してもらわないと眠れない?」」 顔を赤くさせながら乃梨子は頷き、親友である瞳子と可南子は大きな溜息を吐き、吠えた。 「「この同棲ボケめ!!」」
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