■ 2人の時
 
 
 
 
開けた窓から、そよそよと風が入り込み、熱した部屋を冷ましていく。
「うまく逢えたかなぁ」
 少し気怠さを感じながら乃梨子が呟く。
「大丈夫だろう。祐巳のヤツ『たとえ生まれ変わっても、あたしは可南子を見つけ出すわ』って豪語してたから」
「ねぇ、あたしが連れ去られても、祐麒君は見つけてくれる?」
「絶対に見つけるよ。リコが宇宙に連れ去られても、連れ返す。でも…」
「でも?」
 祐麒はベッドから上半身を起こして、隣りで寝ている乃梨子の耳元で囁く。
「俺がそのままリコを連れ去っちゃうけどな」
 そう言って、乃梨子の頬にキスをする。
「愛してるよ、リコ」
 祐麒の言葉に、乃梨子は真っ赤になった顔を隠すようにタオルケットを頭から被り、祐麒に背中を向ける。
「バカ…」
 そう呟く乃梨子を、祐麒はタオルケットごと優しく抱き締めた。








あとがき
 へ、へ、へ。やっちゃった。
 はじめはもう少しライト(『存在』程度)にするつもりでいたんですが、ある方から頂いたメールが、僕の天の邪鬼で外道な魂に火を点けました。
 ちなみにこの話、ミッドナイトローズの裏側での出来事です。
 あなたが見上げた空にいつも綺麗な夏空が広がってますように。
 
 

 
 
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...Produced By 川菜平太