■ Confession 〜告白〜
 
 
 
 
たぶん俺にとって、生まれてから18年間で一番の心拍数だろう。
「乃梨子ちゃん……いや乃梨子さん」
俺の目の前には、祐巳と同じく山百合会のメンバーである二条乃梨子さんがいる。
「俺と付き合ってください」
 
 
「明日の放課後に少し時間をつくってもらえないか?」と、祐麒さんから電話をもらったのは昨夜だった。
いつもと違う、少し緊張気味の口調に、あたしも強張った感じで「わかりました」と返事をした。
今朝のうちに志摩子さんたちに放課後に用事があるから帰ると伝えておいたあたしは、授業が終わるとすぐに、待ち合わせのM駅改札で祐麒さんと会い、あたしたちは中央線を跨ぐ歩道橋までやってきた。
そして今……
あたしの前には、付き合ってくれと頭を下げる祐麒さんが居た。
 
 
はじめはしっかりとしていて、気の利く年下(と言っても早生まれの俺とは数ヶ月しか違わないのだけど)の女の子というのが印象だった。
何度か会ううちに、彼女のなかの優しさや弱さを感じるようになり、気付いた時にはどうしようもないぐらい好きになってた。
 
 
第一印象は「祐巳さまを男にするとこんな感じなんだ」だった。
だけど花寺やリリアンの学園祭などをとおして、大きな包容力と、しなやかな優しさを感じるようになり、気付けば祐麒さんがいると目が追いかけるようになった。
 
 
「趣味は仏像鑑賞ですけど、良いですか?」
「はい?」
「ですから、京都まで秘仏鑑賞しに行って、本命の入試に出れなかったぐらい、仏像鑑賞が趣味のあたしで良いんですか?」
 
 
乃梨子の言葉を聞いて、緊張した表情だった祐麒は柔らかな微笑えんで言う。
 
――それも含めて、俺はあなたが好きです――
 
 
 
 
 
 
 
 
戯言
 
エアーマンはくたばらないを地で行く男、川菜平太です。
今回は『20××』シリーズの原点、祐麒とリコが付き合うきっかけです。
なし崩しに付き合うようになったでも良かったんですが、よく考えると2人とも大事な場面では筋をしっかり通すタイプだよなと思い、その案は却下。
で、どうやって告白するか考えたんですが、一番オーソドックスな形にして、描写に凝ることにしました。
とりあえず、この甘さ200%の2人に胸焼けしそうになっていただけたら幸いです。
 
 

 
 
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